2023/3/9 公開
今回は、花巻市東和町に移住して9年ほどとなる、里山耕暮(さとやまこうぼ)の佐々木哲哉さんにお話をお聞きしました。
神奈川県出身の佐々木さん。
オートバイ旅行や山登りが好きで、自然と、農的・自給的な暮らしを目指すようになったといいます。
「話すと長いんですが…」と笑いながら、福島での農業研修や沖縄でのサトウキビ栽培など、全国各地を巡り巡って岩手へたどり着いたことを教えてくださいます。まずは奥州市、そして花巻市(花巻地域)と仮住まいののち、9年ほど前にやっと今の東和町の空き家に出合いました。
「妻も県外出身(Iターン同士)なので、友人や知り合いのご縁にとても助けられましたね」
移住(自体)の大先輩
実は、これまで「移住の先輩」というのは「花巻に移住された先輩」という意味で使っていました。ですが、佐々木さんの場合は「移住(自体)の大先輩」という意味になりそうです…!
だからこそ分かる、岩手・花巻の魅力をお聞きしてみました。
「やはり四季の変化や自然の美しさには日々感動しますね。それと都会から程よく距離があるのもよくて、伝統芸能や独自の文化も多く残っていると感じます」
*芸能も好きなのでと話す佐々木さんに神楽いかがですか?とお聞きすると、もう少し若ければね(笑)と。
「この場所はまさに中山間地。谷地田(やちた)ともいいますが、谷間で周りの森から滲み出る水が豊富で、ため池や棚田、小川があり、とても気に入っています」
地に足がついてきた感覚
様々な農業関連のお仕事を経験した後、自分のやりたい農業や暮らしを模索しはじめ、今に至っているという佐々木さん。移住を繰り返してやっと見つけたこの地で、やりたいことも明確になってきて、地に足がついてきたと話します。
「はじめに家のすぐ隣の小さい田んぼで自家用米を作りはじめました。もちろん無農薬でライフワーク的な田んぼですね。その田んぼの端っこに少しレンコンを植えてみたのがきっかけで」
そんなレンコン栽培も7年目。
この辺りでの栽培が珍しいこともあって需要は増えているそうですが、1人では限界があり、今年は携わる人を増やしていきたいとのこと。現代では、大型の機械が入れなかったり効率がよくない条件不利地域とされる中山間地ですが、佐々木さんはその可能性に挑戦しています。
薪を確保するために覚えた山仕事も、頼まれることが増えてきました。
「色んな意味で“仕事”と“暮らし”と“趣味”がごちゃ混ぜですが(笑)ストレスは少ないですよね、やりたいことをしているので。今とても充実しています」
「ちなみに、もっとストイックに自給自足している先輩方もいますが、そこはゆるくやってます。でもいいものはいいですしね。もう少し自給率も上げたいので豆なんかも作っていきたいですね!」
メッセージ
実は、佐々木さんは、今年1月に行われた「花巻・遠野移住おためし体験ツアー」でも、先輩移住者としてお話ししてくださっていました。
写真とともに語られる移住のリアルと、ありたい暮らしを模索する姿が、ツアー参加者にもとても響いたのではないかと思います。
改めて、移住された方やこれから移住を考えている方へのメッセージをお聞きしました。
「暮らしのベースとなる素敵な空き家探しがまず第一歩とはいえ、自分も15年かかってやっと見つけたので…焦らず、でも待っているだけでは来ないので動きながら…不安はあると思いますがぜひ踏み出してみてほしいと思います」
「ふとつながるご縁やタイミング、信用なんかも大事にしてほしいですね。そういうのはネット上に載ってないですから。自分の場合、理想とする暮らしを実践されている方に会いに行ったりもしていましたね」
おわりに
もうすぐ50歳という佐々木さん。
経験を積まれたからこその現実味のあるお話と、何より言葉の端々から感じる“誠実さ”がとても印象的でした!
そして「ライフワーク的な田んぼ」や「自分で作るイーハトーブ」「スローライフは苦労ライフ(笑)」など言葉が刺さる刺さる…!
ぜひ直接お話ししてみてほしいと思います。
また、自給自足(自給的な暮らし)とは豊富な知識が必要で、究極的には自分で何でもできるということなんだと、当たり前ですが改めて気づかされました。
今回の取材は冬、まだ雪が残るところでしたので、7~8月、レンコンの花が咲く頃にもぜひお邪魔したいと思います!佐々木さん、お忙しいところ本当にありがとうございました!
里山耕暮(さとやまこうぼ)
Instagram https://www.instagram.com/satoyamakoubo/
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